CINEMA 2019.07.04

【レビュー】“善意の力”を信じてみたくなる!? 映画『町田くんの世界』 

全ての他人に優しく接する聖人のような男子高校生の町田くん。
彼の善意が影響を与え周囲の人々を変えていく物語と、町田くん自身が恋愛に目覚めて変容を遂げる物語だ。

この感じ何か見たことがある気がすると思ったら、ビル・マーレイ主演の大好きな映画、
というかマイベスト映画にランクインする『恋はデジャ・ブ』ではないか。

この映画は、「人間の幸福は自分の中をどれだけ追求しても求められるものではなく、
他人の幸福を通してこそ初めて得られる」という命題を綺麗ごとにせず、
半永久的に同じ1日がループする世界設定の中で、説得力をもって感動的に描いたラブコメとなっているのですが、
今回町田くんの物語を見ていると、この名作を思い出した。



全ての人に優しくするという人類愛と、特定の誰かを愛する恋愛は、
前者は理想的だけどどこか偽善的で嘘くさく、後者は恋愛のデフォルトではあるだろうけど、
それだけを徹底するとそのキャパシティの狭さはむしろ独善的とも解されかねない。

”利他と利己”、隣人を愛する人類愛も特定の誰かを大切にする恋愛もどちらも褒められるべき美徳でありながら、
両者は方向性としては確実に相反している、このもどかしさと滑稽さが、本作はこの2つの価値観が
実は根っこで繋がっているという「直観」に基づいて作られたに違いない。

普通に生活しているとまずこのような直観を実感することは少ないのは、
世知辛い今の時代ではむしろ当然なのかもしれない。

同じ1日が半永久的に続く世界や、町田くんのような実在しなそうな聖人の存在を通して、
このような「直観」に触れられる(思い当たる)経験ができるとしたら、
まさに2時間程度で何かを心に刻む映画体験の醍醐味だと思う。
劇中で言及される「想像力」という言葉を思い出しながら、そんなことを感じた。

ちなみに先日見た傑作『幸福のラザロ』の青年ラザロの学園コメディ版こそが町田くんだったのでは?
と、映画の中で町田くんの過去が語られる際に改めてそう確信したのでした。



後半に登場人物たちの行動が一点に向けて収束していくスピード感やエネルギーは、
『桐島、部活辞めるってよ』を彷彿とさせ、過去には『電車男』とかもあったな・・・と。

完全に安心して見れる豪華俳優陣による演技力と、
一方で演技経験はほぼゼロという細田佳央太と関水渚のフレッシュさが、
イメージカラーがない分、自然と2人のキラキラ度に共感することができ、ホントにいい起用でした!

誤用されていない本来の意味での「情けは人の為ならず」という格言が、
感動的にしかも小気味よく描かれているのは、きっと石井監督が「善意」の力を信じているからに違いない。

石井監督の過去の作品『ハラがコレなんで』は、仲里依紗演じる妊婦が自らの逆境や苦労も一切厭わず
ひたすら「粋」に徹する物語で、これまた不覚にも涙腺崩壊したのを覚えている。
石井監督の善意に対する信仰・信頼はとても幹が太くて安心できて、なんだか風船で青空を飛ぶくらい気持ちがいい。

公開から1カ月近く経ってしまったが、是非とも劇場で、町田くんのやさしさに触れてみてはいかがだろうか。

公式HP : http://wwws.warnerbros.co.jp/machidakun-movie/

 

『町田くんの世界』 あらすじ

運動も勉強も苦手で、見た目も地味な町田くん。でも人を愛する才能がズバ抜けていた!
そんな彼が初めて“わからない感情”を知った時、周りのすべての人を巻き込んで、
驚天動地のドラマが動き出す!みんなどうする?どうなる?

出演
細田佳央太 関水 渚
岩田剛典 高畑充希 / 前田敦子 太賀
池松壮亮 戸田恵梨香
佐藤浩市
北村有起哉 松嶋菜々子

主題歌 「いてもたっても」平井 堅(アリオラジャパン)
監督:石井裕也 脚本:片岡 翔 石井裕也  音楽:河野丈洋 企画・プロデュース:北島直明
原作:安藤ゆき「町田くんの世界」(集英社マーガレットコミックス刊)
配給:ワーナー・ブラザース映画
6月7日(金)より公開中

オフィシャルサイト :http://machidakun-movie.jp
公式ツイッター   :https://twitter.com/MachidakunMovie #町田くんの世界
公式インスタグラム :https://www.instagram.com/machidakunmovie/©安藤ゆき/集英社 ©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会



ライター:毘沙門天華男(フリーライター)
 
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