CINEMA 2019.10.25

【レビュー】白石和彌監督の最新作『ひとよ』 人は自分を産んだ母から逃れることができるのか?

執拗に家庭内暴力をふるう父親から、子供たちを守るために殺した母親。
刑期をつとめて15年後に戻ってくるという約束どおり、その母親が突然家に帰ってきた――。

犯行直後に母親によって、これからは自由に生きることができると将来を保証された子供たちのはずが、事件以降も犯罪者の子として生きざるを得なかった現実。

母親は何故戻ってきたのか?子供たちは母親の犯行をどのように受け止めて生きてきたのか?

家族であることに文字どおり呪縛があるとすれば、清濁併せ飲む意味でその呪縛こそ血が繋がっているという単純な事象の本質的な意味であり、誰もが抗えない圧倒的な事実であることを再認識させられる。

母親は母親でしかなく、子がどんなにその存在を否定しても自分はその子でしかあり得ないということ。

『万引家族』が擬似家族の悲哀を描いたとしたら、この映画は真の家族が擬似家族のように成り下がってしまった事情と経緯を克明に描き、それでも擬似だと片付けきれない血の繋がり(もはやそれは"呪い"と同視してもおかしくない)を炙り出す。

母親役に田中裕子をキャスティングした白石監督が、彼女なしには映画化は考えられなかったというほどに、尋常ではない覚悟のもと全てを背負うその母親像は、母性という単純な言葉ではくくれないほどに、観る者の心を打ち抜いてくる。

皆等しく母親から産まれた存在でしかないからこそ、心は激しく揺さぶられる。

親と子は、限られた人生の中で、一体どれほど親子であることの無力感と充足感を噛みしめるのか・・・と、この映画を観終わった後に、目を泣き腫らしながら何となく考えてしまった。
 

映画『ひとよ』


■監督:白石和彌 
■出演:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子
■脚本:髙橋泉
■原作:桑原裕子「ひとよ」
■配給:日活

11月8日(金) 全国ロードショー

© 2019「ひとよ」製作委員会


ライター:毘沙門天 華男(フリーライター)
 
MUSIC 2019.07.25

映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』の主題歌にGLAY書下ろし新曲が決定!

11月に公開される日中合作の『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』は、プロデューサーに『フェイス/オフ』『M:I‐2』『レッドクリフ』シリーズなど世界的大ヒット作を多く手掛けるテレンス・チャンを迎え、ヒマラヤ救助隊「Wings」を率いる”ヒマラヤの鬼”と呼ばれる隊長・ジャン(役所広司)が、標高8848M/氷点下50℃という過酷な条件下の世界最高峰・エベレストを舞台に、圧倒的スケールと映像美で贈るスペクタクル・エンタテインメントだ。 そして今回、本作の日本語吹替版主題歌が、今なお日本の音楽シーンをリードし続けるロックバンド・GLAYの書下ろし新曲『氷の翼』に決定した。 作詞・作曲を担当したTAKUROは「過酷な運命から目をそらさず受け入れないといけないし、それでも人は自然の一部として生きていかなければならない、と言う事を意識して制作しております。」とコメント。 印象的なピアノソロで始まるイントロとそこに重なる高音ボイス。サビではエベレストの銀嶺を飛翔し、舞い上がるようなフレーズで高揚感を最大限に煽る。アクション要素と人間ドラマ、映像美といった本作の魅力を見事に融合させ表現した楽曲で、25年もの間、第一線で活躍し続けるGLAYの真骨頂がいかんなく発揮されている。 公式サイト : http://over-everest.asmik-ace.co.jp/   映画『オーバー・エベレスト

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